豊中の地には私立幼稚園が全国でも早くに設立され、昭和43年(1968年)には私立幼稚園連合会を組織し、先進的な取組みを重ねてきました。当時は幼稚園需要の急速な高まりがあり、その対応のために施設設備の拡充が必要でした。しかし、園個々では財務基盤がぜい弱なために銀行融資もままならず、困窮する現実がありました。そのなかで、昭和48年(1973年)6月29日、特例民法法人の財団法人豊中市私立幼稚園振興財団を立ち上げ、私立幼稚園に対する市からの助成とともに銀行からの融資も受けやすくなりました。その後40年間にわたって、豊中市私立幼稚園振興財団は私立幼稚園の振興、幼児教育の充実に寄与するとともに公益事業の一翼を担ってきました。
一方、「民による自発的な公益活動を促進する」という公益法人制度改革によって、公益法人三法*1が平成20年(2008年)12月1日に施行されるなか、豊中市私立幼稚園振興財団もその趣旨に沿い、定款変更に向けて議論を重ねました。そして、私立幼稚園の振興という枠を越え、民間保育園等と力を合わせ、子どもの健やかな成長と家庭の子育て支援に向けて寄与できる取組みをすすめることとし、新定款の「目的」「事業」にその旨を掲げました。平成25年(2013年)4月1日に公益目的支出計画を提出し、一般財団法人に移行しました。
また、平成27年(2015年)4月には、「子ども・子育て関連三法」*2 が施行され、子ども・子育て支援新制度が始まりました。財団として、この改正を好機と捉え、翌年には財団運営について豊中市民間保育園連合会メンバーとともに検討をはじめました。ここに、新定款に掲げた「目的」「事業」の実質的に新たなスタートをきることになりました。
平成29年(2017年)5月、役員及び評議員の選任には民間保育園連合会からの参画を得て、事業計画、組織体制、財務基盤等々を検討するとともに、会員規程を定め、すべての民間保育施設に入会を呼びかけました。12月には説明会、平成30年(2018年)4月に互礼会を開催しました。91園が入会し、6月25日に市長を来賓に迎えて「新体制総会」を開催しました。
初年度である平成30年度(2018年度)は、研修委員会所管で12コマの研修会と3コマの公開保育、経営委員会主催で2コマの設置者・園長研修会と新年の議員との合同研修会、『ガイドブック』の発行、総務委員会所管で新年互礼会の開催と親子イベントの開催等々の事業を行うことができました。また、昨今の子どもの安全にかかわる問題や「幼児教育・保育の無償化」の実施に伴う課題について、行政との協議や議員との懇談とともに提言も行いました。
新体制2年目の令和元年度・平成31年度(2019年度)は会員数92園となり、研修委員会所管事業などの効率的な実施とともに、ホームページや研修システムの本格稼働などの課題に向けて取り組みをすすめてきました。一方で、豊中市との“共働”による幼児教育・保育の質の確保に向けた取組み*3や10月にスタートした「幼児教育・保育の無償化」実施にかかる課題への対応などについて、市行政に提言するなども行いました。
*1;公益法人三法とは
~平成18年法律、平成20年(2008年)12月1日施行 :移行期間5年間~
・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
・公益社団法人及び公益法人の認定等に関する法律
・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 <「整備法」>
*2;子ども・子育て関連三法とは
~平成24年(2012年)法律、平成27年(2015年)4月1日施行~
・子ども・子育て支援法
・就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律 <新認定こども園法>
・子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
*3;『教育保育環境 ガイドライン第1版 豊中市 平成31年(2019年)4月』参照